当サイトの記事内には広告リンクが含まれる場合があります。リンクより商品を購入されると、当サイトにコミッションが支払われることがあります。詳細

バンケティングハウス見学ガイド【2026年リニューアル・ルーベンスの天井画とチケット情報】

ロンドンのホワイトホール通りにひっそりとたたずむバンケティングハウスは、「仰向けで名画を鑑賞できる」という、ちょっと変わった体験ができる場所です。

天井いっぱいに広がるのは、バロック絵画の巨匠ピーター・ポール・ルーベンスが手がけた9枚の大作。世界でここにしか存在しない、ルーベンス唯一の現存する「原位置での天井画」です。2024年から2年以上にわたる修復工事を経て、2026年夏にリニューアルオープンを迎えます。観光の隙間にさっと立ち寄れるサイズ感(所要時間は約45分)でありながら、知れば知るほど面白い逸話が詰まった穴場スポットです。

バンケティングハウスってどんな場所?

バンケティングハウスの外観

英語表記:Banqueting House
建築設計:イニゴ・ジョーンズ (1573-1652)
完成:1622年
一級英国重要建造物

バンケティングハウスが建つホワイトホール通りには、かつて広大な宮殿「ホワイトホール宮殿」がありました。1530年から1698年にかけてイギリス王室の居城として使われ、最盛期には1,500室以上を誇ったヨーロッパ最大規模の宮殿です。

しかし1698年の大火災でほぼ全焼してしまい、現在もその姿を残しているのはバンケティングハウスただ一棟だけ。建築家イニゴ・ジョーンズが1622年に完成させたこの建物は、イタリアのパッラーディオ建築をイギリスに初めて本格的に取り入れた歴史的傑作でもあります。

もとはジェームズ1世が宮廷の娯楽(仮面劇・晩餐会など)のために建てた施設でしたが、チャールズ1世の「最後の地」としても歴史にその名を刻んでいます。1649年、ピューリタン革命によって処刑されたチャールズ1世は、この建物の外に設けられた処刑台で生涯を終えました。

目次に戻る

見どころ

ルーベンスの天井画(メインホール)

バンケティング・ハウスのルーベンス作の天井画

バンケティングハウス最大の見どころは、2階メインホールの天井に広がるルーベンスの9枚の絵画です。

「ジェームズ1世の栄光」と呼ばれるこの作品は、王の業績や英知を讃えるために描かれたもの。現在も制作された当初の場所に展示されており、「原位置を保つルーベンスの天井画」は世界でここだけです。

絵画はルーベンスが拠点を置くアントワープで制作され、1634年に完成、1636年に天井に設置されました

Memo

ルーベンスはひどい痛風を患っており、イングランドへの渡航ができませんでした。友人への手紙には「宮廷が苦手なので、自分の代わりに別の者に作品を届けさせた」とも書いています。9枚の大作は梱包されて船で送られましたが、到着してから設置まで約1年かかった間にひび割れが生じ、ルーベンス自身が修復を担当する計画もあったものの、それも実現しませんでした。世界唯一の「原位置に残るルーベンスの天井画」を、本人は一度も見ることなく1640年に亡くなっています。

ホール内ではソファや床に仰向けになってじっくり鑑賞することができます。天井画は9枚あり、大きく3枚の主要パネルと、両側に2枚の横長パネル、そして4枚の楕円形パネルで構成されています。

9枚のうちの1枚「知恵の女神ミネルヴァが無知を打ち倒す」という絵には、偶然にしては出来すぎた話が隠されています。

Memo

絵画がアントワープで制作された当時、英国とフランドルのインチの単位が微妙に異なることが考慮されておらず、完成したキャンバスはわずかに大きすぎてしまいました。そのため「知恵の女神ミネルヴァが無知を打ち倒す」(Minerva Spearing Ignorance)という絵では、「無知」の人物の頭部がフレームに隠れてしまっています。単位の取り違えという些細なミスが招いた結果ですが、この「無知の首が消えた」絵が飾られたホールで、後に国王チャールズ1世も首を落とすことになったのは、偶然の一致とわかっていても、なんとも言いようのない符合を感じてしまいます。(出典:Historic Royal Palaces / Google Arts & Culture)

また、天井画にはもうひとつ、静かに重い話が隠されています。チャールズ1世は、1649年にピューリタン革命によって処刑された国王ですが、その処刑台はこのバンケティングハウスの外に設置されました。処刑台へ向かう際、チャールズ1世はこの天井画の真下を歩いて外へ出たとされています。父の栄光を讃える絵を最後に仰ぎ見ながら自らの死に向かったことなどを想像して天井を見上げると、絵の見え方が少し変わってくるかもしれません。

2026年のリニューアルでは新しいエレベーターが設置され、メインホールへのバリアフリーアクセスが400年の歴史で初めて実現しました。

筆者はこれまで3回訪れていますが、天井が非常に高く絵画の規模も大きいため、細部までじっくり見たい方はオペラグラスを持参することをおすすめします。また、比較的マイナーな観光施設ということもあり、あの広いホールに同時にいる観光客は多くても15人程度。ゆったりと自分のペースで鑑賞できるのも、この場所の魅力のひとつです。

アンダークロフト(地下室)

アーチ型の天井が連なる薄暗い地下室は、ジェームズ1世が側近や友人たちと退廃的なパーティーを楽しんだといわれる「秘密の飲み処」。正直なところ、筆者の印象では前知識なしに訪れると少しがらんとした空間に感じるかもしれません。ただ、この記事で紹介したような背景を知った上で足を踏み入れると、400年前の宮廷の空気がぐっとリアルに迫ってきます。2026年のリニューアルで何か新しい展示が加わっているかどうか、筆者自身も次回の再訪を楽しみにしています。

チケット予約と2026年の公開スケジュール

ホワイトホール通り
バンケティング・ハウスがあるホワイトホール通り

バンケティングハウスは2026年夏のリニューアルオープンから、8月1日〜9月20日の期間中に一般公開される予定です。公開期間・開館スケジュールを以下でご確認ください。

2026年 夏季公開(リニューアルオープン)
8月1日(土)〜 9月20日(日)
木〜月 10:00〜16:00(最終入場 15:00) | 火・水 休館

最新情報は公式サイト(Historic Royal Palaces)でご確認ください

入場チケットは公式サイト(Historic Royal Palaces)でのオンライン事前予約が推奨されています

チケット料金(2026年夏・寄付額を除く)

大人:£10.00 / コンセッション:£8.00 / 16歳未満・HRPメンバー:無料

※低所得向け£1チケットあり。チケット料金は変更になる場合があるため、最新情報は公式サイトをご確認ください。

この記事の目次に戻る

行く前にチェック!アクセス&基本情報

訪問情報

住所 Whitehall, London SW1A 2ER
アクセス Westminster駅 徒歩約5分 / Embankment駅 徒歩約5分 / Charing Cross駅 徒歩約7分
所要時間 約45分(じっくり派は90分)

この記事の目次に戻る

Powered by GetYourGuide